子供の頃や、10代20代の頃は死というのは他人のものでした。いつも誰かが死ぬのですが、それが自分にも該当することだという感覚は少なかったのです。
ところが、年齢を重ねてくると死が身近なものに感じられるようになり、自分の視野の中に入ってくるようになったのです。
身体が比較的健康な時であれ、不健康な時であれ変わることはありません。そしてそのことは、決して悪いことではないと思っています。
逆にとても大切な気づきだなと感じるのです。外側から手に入れたものは、いつか必ず消えていくものです。
それと同じように、自分の命もどこかの時点で消えていくのですが、それは当然のこととして受け入れる必要があるのですね。
無からやってきて幻のような短い人生が起きて、そしてそれは必ずや無の中へと戻っていくのです。
だから無と無の間にあるこの生も本当は無なのです。無の味わいを持って日々を生きるなら、死を歓迎できるような気がします。
そして本当に死を受容した瞬間、死はその効力を失ってしまうのです。あなたの本質である無は死後もずっと無であるからです。