内側のものを所有することはできない

私たちが望んでいることとは、自分が欲しいものを手に入れるということと、その手に入れたもの、つまり所有しているものを奪われないようにするということです。

ということは、望みが叶えば叶うほど、所有しているものが増え続けることになるわけです。俗世的に言えば、沢山所有している人ほど幸せだということになりますね。

10代20代の頃は、欲しいものが沢山ある割りには、経済的なこともあって、なかなか思うようには手に入れることができない時代と言ってもいいかもしれません。

しかし、人生も中盤に差し掛かってくると、若いときと比べれば確かに多くのものを所有するようになります。

結婚して家族が増えたり、金銭的にも余裕ができて、クルマを購入したり、マイホームを建てることができたりするのです。

それでもまだまだ足りないという感覚があるものです。けれども、人生の終盤になってくると、さらにより多くのものを所有することになるのです。

それなのに、完全に満たされたと感じて人生を生きることは難しいのです。その理由は、所有するということに根本的な原因があるからです。

どれほど多くのものを所有することができたとしても、それらはすべて自分の外側に存在するものなのです。

つまり、所有によって自分の外側にあるものを、いくら自分の周りに配置したとしても、自分そのものが変わるわけではありません。

逆に、所有できないものとは何でしょうか?それは、自分の内側にあるものです。自分の内側にあるものを所有することは不可能です。そして、さらにいえば、それを奪われることもありえません。

結局、私たちが心から満たされるためには、何かを所有しようとするのではなくて、あらゆるものが自分の内側にあるということに気づくしかないのです。

自分の本質である純粋な意識が、宇宙を包含しているということに気づくことができたときにこそ、本当に満たされるということになるのでしょうね。