この宇宙の正体とは、単に現象が起きているだけの世界であって、それ以外の何ものでもありません。
常に何かが起きている、起き続けているのが世界の実体です。「私」が居るという想いが在る、あるいは起きているとは言えますが、「私」が居るという事実はありません。
物事がただ起きているのであって、そこには誰もいないし、したがってどんな経験もないということです。
この、「ただ起きている」という事実と「誰かがいて、何かを経験している」ということとは全く異なることであって、後者は真実ではないということです。
私たちの地球には、無数の種類の生物が棲息していて、それぞれの種が生まれては死ぬということを繰り返している、確かにそう見えますね。
けれども、本当はそのように見えるということが起きているだけで、それは真実ではありません。この世界には、私やあなたを含めて、誰も居ないということです。
残念ながら、こうした真実を思考で捉えようとしても無駄なことです。なぜなら、思考はただ起きているだけだからです。
私たちは、自分の思考の中味に真実を含めることができると信じていますので、無駄だと聞いても簡単には納得したくないという想いを持っています。
思考がただ起きているということは、思考の立場を貶めることではありません。何かに価値があるとか意味があると思いたいという思考が、ただ起きているだけです。
私たちの本質とは、現象として起きているどんなものとも異なります。それは現象ではないからです。現象が起きては消えていく場のようなものです。
それだけが、ただ在るのです。