逃げたり戦ったりせずに見守る

誰もが自分にとって苦手なものってありますよね。夏になると出没しだすゴ◯◯リだったり、嫌いな食べ物や臭いもの。あるいは精神的なダメージを与えられるような他人からの誹謗中傷など。

できればそういったものを避けて、生きていきたいと思うものです。けれども、生きていれば大なり小なりそうしたものに出くわすことは避けようのないことです。

だとしたら、どのように対処すればいいのでしょうか?実はそうした対象から逃げようとしたり、戦おうとすればするほど、相手にエネルギーを与えることになって、より対象への恐怖を増大することになるのです。

逃げたり戦ったりしないというのは、具体的にはどうすればいいのか、事例をあげて説明したいと思います。

かつてあるクライアントさんが、私のセッションや講座を率先して受けて下さって、いい感じに癒しを進めていけてるなと思っていたのですが、ある晩突然その人からメールが届いたのです。

読んで見ると、相当にひどい否定の言葉が綴られていました。あなたのくだらないプライドなんか、ドブに捨ててしまえ!といったような感じの激しい怒りの混じった罵声が文字になっていたのです。

びっくりしたと同時に、一度読んで胸のあたりが嫌な感じがして…、つまり傷つけられたわけですね。逃げるというのは、もう二度とこのメールを目にしたくないとして、それから遠ざかろうとすることです。

逆に戦おうとするのは、腹を立ててその相手に逆襲するような内容のメールを送りつけるということです。そのとき私は、そのどちらもせずにできるだけゆっくりと、繰り返しそのメールを読むようにしたのです。

2度目に読んでいる時より、3度目は少し気持ちが楽になり、自分が傷つけられたことよりも、それを書いている相手の気持ちの方に意識が向くようになったのを覚えています。

そして気がつくと、心の痛みはほとんどなくなってしまっていました。相手の言葉は、ご本人のプライドが傷つけられたことを表していたのです。そのプライドが邪魔で、捨てたいということだったのですね。

私たちはどうしても、怖いもの、嫌いなもの、嫌な対象から逃げようとしたり、戦って打ちのめそうとしてしまいます。そんなときに、どちらでもなくただじっくりとそれを見てあげること。

このことを思い出して実践することで、乗り越えるのではなくただ反応しないマインドにしていくことができるということですね。