人は変わらない その2

昨日のつづきです。

人は様々な経験を積んで、いろいろなことを学習して人格形成して立派な人物になっていくのですが、それでもその人の本質的な個性や特徴、ものごとの考え方などは変わらないということでした。

一番簡単な例で言うと、運動が苦手な人が毎日ジョギングを続けていくうちに、フルマラソンで完走できるようになったらそれはすばらしいことですが、その人の基本的な性格は変わりませんね。

でももしその人が何となく自信がない人だったとしたら、苦手意識のあるものを克服したことによって、少し物事に自信がついてくるかもしれません。頑張ったら自分もできるんだという成功体験による、気持ちの変化は確かにあるかもしれません。

しかしそれでも、何か大きな失敗をしてしまったらまたすぐに今までのように自分に自信のない感覚が戻ってくるかもしれません。

経験や学習による私たちの変化というのは、反応の仕方が変わるということです。それが人格形成による変化だと言ってもいいと思います。中身は変わっていないのです。

「奇跡のコース」は自分を幸せな状態に変えていくための学習書ですが、その教えに沿って学んでいったとしても、本質的な自分が変化するわけではありません。反応の仕方が変化するだけです。

これはどういうことかというと、私たちの心はエゴの部分と愛の部分から成り立っています。そして、その人の基本的な性格、個性や特徴というのは、そのエゴの部分のことを言うのです。

たとえその人が愛情深いいい人だとしても、その個性を作り出しているのはエゴの部分なのです。そして、この部分そのものは小さくなったり増大したりすることはあってもその中身が変わることはありません。

その人の反応が変わるというのは、そのエゴの部分と愛の部分のどちらをどれだけ使うかということが変化するだけなのです。そしてそれは、あくまでも自分の選択に委ねられています。

私自身の最近の変化でいうと、理不尽なことが自分に降りかかってきたとしても以前のように怒りが出てこなくなってきました。それは、私の個性が変化したからではなくて、怒りを選択しなくなってきたからであって、それによって私の反応が変化したに過ぎません。

本来の自分を変える必要もありませんし、どんなに努力したって変えることなどできないのです。ただ、心の訓練によって愛を選択することを増やしていくだけです。そのことによってのみ、人はより幸せな状態へと変化することができるのです。