従順さと頑固さ

他人に言われたことにすぐに流されて、疑いもせずに従ってしまうという傾向の強い人がいます。そうかと思うと、その反対に誰に何を言われても頑として自分の考えを曲げない頑固極まりない人もいます。

双方の特徴を足して2で割ったくらいの性格がちょうどいいのかもしれませんね。しかし、実は一人の心の中で、そのどちらの極端な傾向をも併せ持っている人もいます。

というよりも、すごく従順な人というのは実はその裏で非常に頑固な一面を持っているということがおうおうにして言えるのです。

なぜそんなことがあり得るのかということを説明します。元々生まれながらに素直で従順な傾向を強く持っている人は、親や周りの大人たちの言うことをそのまま受け入れてしまいます。

疑問に思うことなく何でもそうなんだと疑わずに受け止めてしまうことで、時としてひどく傷ついてしまうことがあるのです。

なぜなら、自分にとって都合の悪い情報かどうかということを検閲することもないままに、その情報をあるがままに心のなかに入れてしまうのです。

したがって、情報を検閲して場合によっては弾き飛ばすことのできる人に比べて、傷を負いやすくなってしまうということですね。

そうして、手痛い経験をしてしまうと、それに懲りてその経験に関連した情報が来たときには、今度は自分を守るために頑なに拒絶するようになるということです。

ただ、自分を守る必要がないような情報に関しては、生まれながらのやり方のまま、批判したりせずに受け入れるという生き方をし続けるのです。

そうやって、ある面ではとても従順でありながらも、別の面では非常に頑固な反応をするという二通りの面を同時に合わせ持った人になるということです。

表面的には素直で従順な人であったとしても、ある特定の領域に関してはとてつもなく頑固であると言う場合が非常に多いのはそのためです。

そしてそういった人は自分が頑固だという自覚はかなり薄いものです。あなたの場合はどうでしょうか?自分を従順なほうだと思っている人は、一度頑固な面があるかどうかじっくり見つめてみることをお勧めします。

そうすると、自分はどんなところが急所なのかが分かる場合があります。人は、自分の弱点に関しては、頑固さを持っているものであるからです。