自分というのは、意識に違いない、他の何ものでもないということにずっと注意を向けていたときに、ふと身体が得体の知れない不気味なものに思えてきたことがありました。
何だか、自分という意識の周辺に、ひょろ長くて何とも気持ちの悪い物体が野放図に置かれているというような感覚です。
勿論そんな変な気持ちはすぐに消えうせてしまったのですが、あまり今まで経験したことのない感触でした。
身体というものは、それ自身では完全に中立であり、主体性のないものですからただ主人のなすがままなものなのです。
したがって、身体がいいとか悪いということは全くないのですが、ずっと自分とは身体だという思い込みをしてきたために、それを心から否定した瞬間にものすごい違和感が来たのでしょうね。
大人になって、こんなことを真面目に試してみるような人は自分以外にはいないかもしれませんが、子供の頃というのは案外いろいろな体験をしているものです。
もしかすると、多くの人が幼い頃に変な経験をしていて、でもそれを親に言ったところで分かってもらえるはずもなく、自分の心に留めているうちに忘れてしまったということがあったかもしれません。
みなさんは、自分が意識であるということを認めた上で、それでも自分は身体なのだという矛盾についていくことができますか?
一体どうやって、意識と物理的な身体の関係に納得のいく説明をすることができるのでしょうか?くだらないことだとは思いながらも、一度そのことに本気になって向き合って見て欲しいのです。
自分とは意識でもあり、身体でもあるなどということが本当にあり得るのかと考えて見れば、そんなことは不可能だと分かります。
どちらか一方であればあり得るかもしれません。しかし、自分が身体だとしたら、身体がどうやってこれが自分自身なのだと言えるのでしょうか?
それも不可能なことだと分かります。つまり、自分は意識であって断じて身体ではないということになるということですね。
身体ではないと分かれば、自分は決して傷ついたり消滅したりすることはできないということがわかります。ましては、生まれたこともないのです。
こうしたことを、誰に言われるまでもなく、自分独りで検証して納得することがとても大切なことです。誰の言うことも信じないで、肯定も否定もせずにただ検証することです。