自由意志がないことの検証 その3

昨日も書きましたが、自由意志があるかないかということについて、真剣に自分なりに検証していくことがとても大切なことだと思います。

誰の言うことも信じてはなりません。こうした問題提起があったなら、そのことに無関心でいるよりも、真摯な態度で検証していけばいいのです。

そこで、今日は脳神経科学の分野では当たり前になっている、驚くべき実験結果についてお伝えしたいと思います。

科学者であっても、人間には自由意志が本当にあるのかどうか、ということに興味を持って向き合っている人たちが沢山いるんですね。

実は、そうしたことへの興味が最初にあったのかどうかは分からないのですが、度重なる実験によって、そうした疑問が浮上してきてしまったと言ったほうが正確かもしれません。

様々な科学者が、本当に様々な実験をしてきており、その結果、人は自由意志によって何かを行動しようとするときに、その決意の0.5秒前に脳からの指令が発せられているということが分かっています。

つまり、あなたが右手を上げようと決意し、その通りにほとんど瞬時に右手を上げることができますが、その0.5秒も前に無意識的に脳内で決意のスタートを切っているということです。

ということは、私たちは自分の完全な自由意志によって、右手を上げたと感じているのですが、実際には自分の意識できないところで、その決意の元となる脳内の信号が発動していたということです。

神経学的には、0.5秒というのは恐ろしく時間がかかっていると感じますし、私たちが今この瞬間に決意したと思い込んでいるのは、間違いだったと言うことが証明されているのです。

ただ、この事実がすぐに自由意志がないという結論に向かうことはできません。ただ、決意が起こるのに、自由意志があってもなくてもいいということは言えます。

しかし、もしもその行為を決意したすぐその後に、やっぱりその行為を止めようとする時に、自由意志を使うことができるという考え方もできます。

最終的には、止めるという決意に対しても、それに先がけて脳内での指令が発動されているのかどうかは、実験が複雑すぎることによりまだ実現していないというのが現状のようです。

みなさんが信じられるかどうかは別として、自分の決意というものが実は無自覚の中から、しかも0.5秒も前に発動していたということが明らかだと聞いて、どのように感じますか?

私の個人的な感覚では、それこそが大いなる意識からやってくる指令なのではないかと思うのです。

もしもそうだとしたら、私たちが持っている罪悪感には、全く何の意味もなかったということになりますね。そして、大切だと思われている向上心なども、色あせて見えてきます。

過去の失敗を後悔することも、未来に不安を持つことも、ほどほどにした方がいいのではないかと思いませんか?