二つに分裂したインナーチャイルド

私のセッションでは、大抵の場合インナーチャイルドという言葉が登場します。もうすでにご存知の方が多いと思いますが、直訳すれば内なる子供ということです。

つまり、大人の心の中に残存している子供の頃の意識ということです。インナーチャイルドのいない人はいません。

どんな人であっても、インナーチャイルドが心の奥に潜んでいます。無邪気な子供の頃をあるがままにそのままにしておける人は、いないからです。

誰でも、大人になるにしたがって、無邪気な心だけでは生きていけないということを悟るからです。社会に順応して生きていくためには、無防備さだけでは危険なのです。

そこで、自己防衛のシステムが作られることになるのです。その自己防衛が強大であればあるほど、それだけ苦悩も大きくなるのです。

つまり、インナーチャイルドがいることが直接問題であるということではないのです。インナーチャイルドはざっくり言って二つの部分に分裂しています。

一つは、無邪気なままの無防備な子供の部分であり、もう片方がそんな自分を否定して、誰からも否定されない自分を創ろうと頑張る部分。

実は後者の部分こそが、自己防衛システムを強大にしていくことになるのです。どちらのインナーチャイルドにも等分の役割を果たさせることができると、バランスのとれた大人になることができます。

けれども、その後者のインナーチャイルドの上に自分を構築して行ってしまうと、自己防衛の強い人生へと突き進んでいくことになってしまうのです。

その場合にこそ、癒しが必要になるのです。セッションの最初では、こうした心のメカニズムについて、充分に理解していただくことが大切なのです。