癒しの原点

まず始めに必要なことは、自分も含めて誰の心も一枚岩ではないということに気づくこと。自分が把握している自分は、自分全体の一割にも満たないということ。

そのことに気づき、それを認めて、そのことを心から受け入れることです。いわゆる潜在意識とか無意識という領域があり、その力が絶大であるということです。

その見えない意識の中が沢山の部分に分離していて、互いが足の引っ張り合いをしてしまう時に、葛藤というものが起こるのです。

面倒なのは、それがぼんやり感じるレベルから、全く気づくことのできないレベルまであるということです。幼いころの恐怖やそこから発生する様々な感情は、概ね気づきにくくなっています。

なぜなら、気づけば苦しむことになると思っているからです。そうした思いすら、抑圧されているために、本人は気づけない場合がほとんどです。

けれども、そのネガティブな感情の存在に気づき、それを認めて、充分に受け入れることができれば、潜在意識の奥深くへと隔絶していた状態から、それを引き寄せることができます。

その上で、最終的にはただ受け入れるというよりは、その感情と一つになるようにするのです。つまり、それから逃げも隠れもせずに無防備に味わうのです。

そうすることで、潜在意識の中に埋もれていた感情というエネルギーが浄化され、それが暴れることで起きる不都合や苦しみが減少していくことになるのです。

もしもあなたが、過ぎ去った過去など見ずに、前を向いて進めばいいんだと思っているのなら、是非次のことを知って欲しいと思います。

それは、知らず知らずのうちに隠してしまった過去をそのままにすれば、必ず過去に苦しんでいた幼い自分が、過去からあなたを乗っ取りにくるということです。

私たちは、いつまでもそれを押さえ込んでいることはできないのです。それはどれほど努力しても、頑張って打ち勝とうとしても無駄なことです。

そしてとうとうどうやっても逃げおうせないと気づいたときに、ようやく癒しの第一歩がスタートするのです。勿論それでも決して遅くはありません。

いついかなるときにも、人生のどんな局面であろうとも、癒しを始めることはできるし、それが自分に正直になるということなのです。