対立のない世界

恥ずかしい話しなのですが、中学一年生くらいまで、自分は朝起きて顔も洗わず歯も磨かず、髪は寝起きのままで学校へ行っていました。

着るものを気にするということもほとんどなかったのです。それが、年頃になって色気づいてきたと同時に、生活が変わりました。

週一回くらいしか洗わなかった髪は毎日シャンプーするようになり、ズボンプレッサーなるものを買ってもらって、毎晩寝てる間に制服のズボンに折り目をつけるようになったのです。

異性からどうみられるのかということが、急激に気になり出したというわけですね。それ以降、他人の視線が気になるということがなくなることはありませんでした。

ただ、一度だけ中学三年生のときに、理由は忘れたのですが髪をスポーツ刈りにしたことがあったのですが、そのときはものすごく楽でした。髪型を気にせずにいられたからでしょうね。

大学生になって自由を謳歌し出したころには、長髪になってポニーテールにできるくらいまで伸ばしていたこともあります。

また、人の視線を避けるために、一番濃い色の度付きサングラスを作って、それで生活していたこともあります。これは、電車に乗ったときなど非常に心地よかったのです。

相手からは自分の目が見えないために、当時感じていた軽い視線恐怖を感じずにいられたからです。これも、人からどうみられるかを気にすることから起きるものですね。

誰だって他人からどう見られているのかということが大なり小なり気になるものです。けれども、これは単に精神的自己防衛の結果なのです。

これを克服しようとするのではなく、感じる恐れをしっかりと見てあげることで、視線恐怖は激減してしまいます。

さらに、視線を内側に向けることで自分の本顔である、「何もなさ」に気づくことができれば、もっと他人からの視線に対する恐れが小さくなっていくのです。

相手の視線の先にあるものは、本当の自己ではないと分かるからですね。それは対立のない世界へと誘ってくれるのです。