自閉という自己防衛の方法

以前にも何度か書いたことがあるのですが、小学生の頃にある時突然自分は今まで人の話しをまともに聞いたことがなかったと気づいたのです。

それは本当に驚きの体験でした。それはごく普通の毎日の授業中のことだったと思います。先生がいつものように何かを話していて、それが心の中にガ~ンと入ってきたのです。

自分としては、それまでも真面目に先生の話を聞いていたつもりだったのですが、そうではなかったと気づいてしまったのですね。

今から思うに、それまではある意味自閉していたのだと思うのです。勿論耳には声が届いているし、ごく正常な子供として生活してはいたのです。

けれども、きっと興味の湧かない先生の話に対して、本当に耳を傾けるということをしてこなかったということなのでしょう。

つまり、心を閉じて授業を受けていたということです。先生の言葉の本意がそのまま丸ごと心に飛び込んできたことで、それまで閉ざしていたと理解できたのです。

自閉は誰でも多少は無自覚にやってしまう自己防衛の一手段なのです。そして、自分の都合に合わせて適宜開いたり閉じたりさせているのです。

恐怖などの強さによって、幼いころに強烈に自閉してしまうとそう簡単には開けなくなってしまうということが起きてきます。

そうなると、大人になってもその傾向が色濃く残ってしまい、物事に対して否定的で深刻な印象を与える人物になる可能性が高くなります。

そうした人が仮に親だったとすると、子供はとても苦しむことになってしまいます。自分に対して心を開いてくれない親が、どれだけ子供を孤独にさせてしまうのか、想像に難くありません。

もしも、自分は親に受け止めてもらえた経験が少ないかもしれないと感じるなら、このような環境で育ったのだと思って間違いありません。

そのことは、大きな不満となって心の中に蓄積されてしまっているはずです。人生に対しての何らかの不満の根本原因はそこに見出されるのです。

そこをしっかり見据えて、そこにある悲しみや怒りなどの感情から逃げないようにすることで、傷ついた心は少しずつ癒されていくのです。