あなたのエゴは、いつも自分という存在を明確にしたいと望んでいます。常に、自分はここにいるという現実の中で生きて行かなければならないのです。
そう頑張っている本当の理由は、エゴとは思考による作り物だからです。だからこそ、エゴはあなたに闘いなさい、闘って欲しいもの、必要なものを手に入れるように急き立てるのです。
そうやって希望が叶えば、あなたは幸せになれると洗脳してくるのです。私たちは、幼いころからそのエゴの声に圧倒されながら、闘いと防衛の日々を生きてきてしまったのです。
それはエゴにとっては好都合ですが、あなたにとってはひどい仕打ちだったのです。あなたが感じるあらゆる苦しみは、エゴがそそのかすその生き方にあったのです。
そこから抜け出すためには、エゴがあまり好まないことを工夫してみるのが効果的です。たとえば、日常的なあらゆる場面で、「自分が溶けて消えていく」イメージを作るのです。
気持ちのいい朝の空気の中を歩いているなら、その空気の中にあたかも自分が消えていくように感じてみるのです。自分の身体が大気中に溶け出して、次第に薄れていくさまを感じるのです。
元々、あなたの身体を構成している原子は、外側にある大気やこの世界を作り出している原子と何も変わらないのですから、外の世界とあなたの身体の境界というのは、本当はありはしないのです。
あるいは、心静かに目を閉じて瞑想しているのなら、その果てしのない闇に包まれて安らぎながら、やはりその闇の中へとあなたそのものが溶けて消えていくのをイメージするのです。
こうしたことを繰り返しているうちに、時々本当に自分がいるのかいないのかが曖昧な感覚になり、それは至福感となってやってくることにもなるのです。
自分がいない、つまりエゴがないということは、何と清々しい爽快感なのでしょう。その至福感は、自分が溶けて消えていくイメージとともにやってきてくれますよ。
その感覚は、エゴの好きな達成感のようなものとは、本質的に異なるものです。達成感はやってきたとしても、一瞬のうちに過ぎ去ってしまいます。
この至福感は、気持ちの高揚のようなものではないので、低く静かにただ在る感覚なのです。