永遠の謎

まだ若い頃、哲学って面白いなあと思っていたことを覚えています。何が魅力かって、頭の中だけでずっと解き続けることができることです。

マインドというのは、難解なものを好む習性があるようで、ほとんど何の役に立つわけでもないけれども、謎解きは楽しいのです。

ただ間違いを起こしやすいのは、哲学的思索を追求していくことで真理に近づいていくことができるのではないかと感じることです。

誰にとっても真理というのは謎なわけで、その謎に挑戦することで興奮もするし、真理にいずれは到達するかもしれないという期待を持つのです。

けれども、そこにハマってしまう前に気づけて本当に良かったのですが、真理は哲学からはとてつもなく離れたところにあるのです。

というよりも、哲学を追求すればするほど真理からは遠のくのです。なぜなら哲学は思索であり、それは一つの思考の形に過ぎないからです。

どんな形の思考であれ、それが消えていった先に見えてくるものがあるのです。真理は思考が及ばないもの、永遠に謎である何かなのですね。

だから探究が無意味だと気付いたときに、探究するずっと前から目の前にあったもの、それが真理なのです。