傷つくことは悪くない

私たちは誰でも、できることならなるべく傷つきたくないと思っているのです。傷つくことは辛いことだし、悪いことだとも思っているのです。

だから傷つきやすいということも悪いことだと感じるのですね。できることなら少々のことでは傷つかない強い自分になりたいと願っているのです。

けれども、もしも傷つきたくないとして頑丈な鎧を身につけてしまったら、動きが鈍くなるし軽快な気持ちで生きていくことができなくなってしまいます。

分厚い鎧は安全ですが、不自由で生きづらいという面もあるのです。もちろん鎧というのは心の鎧のことで、それが心理的防衛ということです。

危険を察知すると貝は閉じて殻の中に身を隠しますが、人が心を閉ざしてしまえば何も感じないロボットのようになってしまうのです。

生身の人間でいるためには、鎧を脱ぎ捨てて傷ついてもいいやという気持ちで生きることです。

長らく心を閉ざしてきたクライアントさんが、ゆっくりとそれを開いて見せてくれる姿に触れると、とても感動させられます。

なぜなのかなと思うのですが、きっと私たちは無防備で自然な姿を愛しいと感じる習性があるのですね。

私はセラピストの仕事をするようになって、人は傷つきやすい状態で生きる方が遥かに素晴らしいという確信を得ました。

傷つくことを恐れなくなったら、人は自分の本性が愛だったのだと気づくことになると思います。