目を閉じてみると…

非常に素直に注意深く生きた人々の言葉ですが、「私たちは在る物をあるがままに見ずに、考えたものを見る」というのがあります。

まさかと思うかも知れませんが、私たちがいかに思考の中で生きているかを理解できれば、確かにその通りだと分かるのです。

例えば、部屋で一人でいるときに静かな気持ちになろうとして少しの時間目を閉じてみるのです。

目を閉じた瞬間から、何も見えなくなって自分の身体がどんな体勢でいるのかを知る手立てはなくなるのですが、目を閉じる前の体勢を維持しているとイメージしています。

ソファに腰掛けている状態で、身体全体としてはこんな姿勢になっていて、頭は当然天井の方に向いていて、足の裏が床に着いている等々。

これは全てイメージの産物だということが分かるでしょうか?これは事実ではありません。そうなっていることを証明するどんな方法もないからです。

あなたが身体を持っているということも証明できなくなっているのです。この時さらに思考から解放されるために、記憶を使わないように心がけてみるのです。

そうすると、自分が何者かが一気に不明になります。なぜなら、自分とは◯◯だという情報の全てが記憶からやってくるものだからです。

ここで初めて見えないものは「ない」のであって、逆に言えばいつも思考と記憶が作り出す世界を見ていたことに気づけるのです。

さあもうすでに、ここまで思考と記憶が落ちた状態であれば、立派な瞑想状態になっていると言えると思います。

目を閉じていても、何やらやってくるあらゆる感覚がありますが、あなたとはそうした全てが起きる土壌であり、空間であるということ。

それは目を開いた後でも決して消えることがありません。そのことに気づいていられるように、注意深く生活できるといいですね。