遺伝子こそ主役

あらゆる生物のそれぞれの個体に与えられた役割というのは、ひとえに種の保存であるわけです。

それぞれに特有の遺伝子を受け継いで生まれてきて、その遺伝子を次の個体へと伝搬するのが役割なのです。

ということは、過去から未来へと伝搬される遺伝子こそが、主役なのかも知れないと。主役だと思われていた個体は、実は遺伝子の乗り物だとも言えるのです。

このことは我々人間についても言えることです。人間だけが特別ということはないわけですから。

そうなってくると、この私という存在をどう捉えたらいいのか、ちょっと分からなくなってきますね。

この人生という長いドラマの主役だと思い込んでいた私は、単なる遺伝子の乗り物としての役割を担っているということです。

場合によっては、生物と呼ぶことを憚られるウイルスの乗り物ということも言えるのです。そうなると、ウイルスに感染することは間違ったことではないことにもなります。

何だか、「私」の立場が危うくなってきてしまいましたが、これが本当のことなのです。事実はといえば、人間の一人ひとりは確かに遺伝子の乗り物です。

そして、「私」はどこにも存在しないもの。これが事実です。残念ですが、これが本当のことです。

けれども、そういう見方がしっかりできると、とても気持ちが楽になって悠々と生きていける感じがしませんか?