虫の不思議

最近はほとんどテレビを観なくなってしまったのですが、過去にドキュメンタリー的な番組の中で、動物などの生態を見せてくれるものがあって印象に残っています。

その手の番組は、観るとはなしに観ているうちに、ぐいぐい引き込まれていってしまうのです。作り物ではないだけに、興味をそそられるのでしょう。

特に昆虫などの小さな虫たちの生態を至近距離で捉えた映像などは、なかなか面白いですね。子供の頃からそうした映像を観ていて、いつも不思議に思っていたことがあります。

それは、虫たちは誰に教わるわけでもないのに、彼ら特有の生活を営んでいるわけですね。例えば、フンころがしは、どうしたわけかどれも同じように後足で上手にフンを転がしていきます。

あれほどの芸当がなぜ生まれながらに備わっていて、しかも上手にやりこなすことが出来るのかと思うと、自然の神秘を感じずにいられません。

今思い出したのですが、子供のころにみた映像で印象深かったのは、かまきりのオスとメスが交尾を終えて、やれやれ子孫を残す作業を無事やり遂げたと思った矢先、メスがオスを頭から食べ出すんです。

オスは黙ってメスに自分を食べさすんですね。そんなのってあるんだろうかと、残酷なことのように思えて、でもそれがメスの栄養源となって無事に卵を産むことに繋がるんですね。

彼らはなぜ、人間のように自意識があるわけでもないはずなのに、そうしたことを正確にやり遂げることができるのでしょうか?虫たちの行動を見ていると、その必死さが伝わってくるようでとてもいじらしくなります。

こうした疑問とは、我々人間は自分が理性を持って様々な行為をしているという前提に立っているからこそ出るものです。

つまり、人間には理性や意志があって、それが自分をコントロールして行動するのに、虫には理性や意志がないのに、なぜ緻密な行為をやってのけるのかが不思議だということです。

実は、虫も人間も全く違いはないといったら驚くでしょうか?私たちだけが、「私」という想念を持ったがために、自分の意志で行為をしていると錯覚しているということです。

本当は、「私」がいなくても虫と同じように何でも行動できるということです。この宇宙で起きていることは、すべからく大いなる意識の思い通りに起きるということです。

残念ですが、私たち人間もその駒の一部でしかありません。しかし、本当の自分とは、「私」として自覚しているものではなく、その大いなる意識の方なのです。

「私」は想像上のものでしかないと分かれば、誰かと比較して落ち込んだり、罪悪感にさいなまれたりすることなどありえないはずです。

あなたがどんなに頑張っても、また頑張らなくても、すべては純粋な意識である真の自己から流れ出てくる現象だと気づければ、すべての問題は問題ではなくなるでしょうね。