二種類の土台

私は二十二年間の会社員生活を途中でやめて、今の仕事に就いたわけですが、サラリーマンの頃は会社を辞めて独りで何か仕事ができたら夢のようだろうなと思っていました。

そしてその願望はどういうわけか、全面的に叶ってしまいました。そういう経緯を思い返すと、確かに今の生活は夢のようです。

ところが、どうしたわけか、最も望んでいた夢が叶ったのに、何とも心の底からの幸福感を感じることができませんでした。

それに気づいたときには愕然としたものです。それは、セラピストの仕事をするようになって、慣れない仕事に自分が馴染んできて、収入も充分なものになったときに気づいたのです。

何かがおかしいと。長年の願望が叶っただけではなくて、心の癒しも進めてきて、もう幸せいっぱいになるはずだったのに…。

自分に正直になると、そうでもないと言わざるを得ませんでした。これは本当に謎でした。それで、自分のやっている仕事にも疑問を感じるようになったのです。

結論から言うと、人は至福という土台と、苦悩という土台の二種類の足場のどちらかの上に立っているということに気づいたのです。

そして、その足場が苦悩という土台であるならば、人生の中でどんなに願望が叶おうが、それはやはり苦悩を感じて生きることになるのです。

願い事が次々と叶ったとしても、一般的な心の癒しをどれほど進めていったとしても、この土台が苦悩から至福へと変わらなければ、本質的には人生は同じものなのです。

従って、自分が今どちらの土台の上に立って生きているかをまず見極めることが大切です。そして、もしも苦悩という土台の上で生活しているのなら、それを変える必要があります。

このブログを読んで下さっているみなさんなら、もうお分かりかと思いますが、苦悩を至福という土台に変えるためには、自分の本質の姿に気づかねばなりません。

自分とは一体何なのかという真実に気づくことなしには、至福の土台の上に立つことは不可能だと知ることです。

そして、自分の本質に気づくことができれば、たとえ人生が過酷なものであろうと、痛みがたくさんやってこようと、土台としての至福は微動だにしません。

私たちが本当に求めているものとは、そうした至福という土台の上に立つことであり、それはなにものにも影響されない奥深い心の平安を手に入れることなのです。

今年こそは、努力することなしに、みなさんとご一緒に自己探求の年にしていきたいですね。