夢や希望を持たない人生

子供の頃に親や学校の先生、あるいは社会全般などから教えられた事というのは、本当に根深く心の奥に残っているものですね。

その教えにちなんで、誰もが自分の人生をできるだけすばらしいものにしようと頑張るわけです。人から尊敬される人になるとか、前向きに生きるとか。

あるいは、人生に夢や希望を持って、明るい未来に向かって突き進んで行こうと思うのかもしれません。

しかし、私自身はというと、とてもじゃないけれどそういったこととはあまり関係のない人生を生きてきたと思っています。

私には夢を抱くことができませんでした。以前にも書いたことがありましたが、小学生のころの希望は、早く歳をとって楽隠居したいというものでしたから。これは嘘のような本当の話です。

何をやっても達成感がなくて、自分は異常なのかもしれないと考えていた時期もありました。それは今でも変わりません。

勿論何か欲しいものが手に入ったときには、人並みには喜んだり嬉しがったりはしてきたのですが、それでもそうした気持ちはあっという間に沈静化したのです。

そうした経験を繰り返してきて、どんなものを手に入れたとしても、人生が幸せになるということはないと分かりました。

きっとそういうことがあったから、セラピストという仕事をすることになったのかもしれません。しかし、物質的なことから精神的なことへと視点が移ったところで、根本的には変わっていないというのが本音なのです。

それで気づいたのですが、やはり夢や希望を持てば持つほど、つまり人生に期待すればするほど、後悔や落胆も多くやってくるということです。

夢や希望がない人生なんて、つまらないと言われそうですが、自分が成るべきもののために奮闘する代わりに、今あるものに意識を向けることが大切なのだと分かったのです。

自分や物事を改善しようとするよりも、物事がすでにどうなっているかに対して意識を向けることこそが大切だということです。

それが、広い意味での自己探求に繋がるのではないかと思っています。
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