人の心は余裕がなくなると自閉する

2~3週間前に三鷹の女子高生が殺されるというショッキングな事件がありましたね。フェイスブックで知り合った男性との別れ話がこじれた末の事件だと聞いています。

犯人の男性は別れることを受け入れることができずに、好きが一転して憎悪になった典型的な事例だと思います。この男性の心理状態はある種のストーカー的な要素が強いのだろうと感じます。

ストーカーの心理の特徴は、自分の感情に翻弄されるあまりに、相手の気持ちにブロックをかけて、つまり自閉することで相手の気持ちを感じないようにするのです。

こうなると、気持ちは常に一方通行であり、相互に分かりあうということができなくなってしまいます。自分の言い分ばかりが強くなり、相手の気持ちを見る余裕がまったくなくなってしまうのです。

こうしたことは何も特別なことではなくて、私たちの心の中にも日常的に起きることがよくあります。たとえば、お世話になった相手に感謝の気持ちを伝えたいというのは、ごく普通の感覚ですね。

けれども、相手がそれを望んでいないということを考えることができなくなると、感謝の気持ちを伝えたいということだけが独り歩きして、それが何か双方にとっていいことだと考え始めるのです。

感謝の気持ちを伝えたら、自分も気持ちいいし、それを伝えられた相手も心地いいだろうと勝手な判断を下すようになってしまうのです。

これは、別れて欲しいと言っている相手に、自分は相手を好きで一緒にいたいのだから、相手だってそうに違いないと都合のいいように解釈をするのと同じです。

このように人の心というのは、余裕がなくなると自閉して自分の気持ちが邪魔されないようにするものなのです。それが、ストーカーの心理なのです。

それがいかにおとなげないことか、つまり子供の意識に乗っ取られているのかを冷静に見てあげる必要があります。自分を観照することによって、気づくことができるはずです。