自然の摂理 その2

昨日に引き続き、今回は昨日の宝石蜂よりももっと小ぶりな体長数ミリのとある蜂の生態についてです。

この蜂は、ある蛾の幼虫(イモムシ君)の体内に直接卵(80個程度)を産み付けるのだそうです。ここまでは、寄生蜂のごく普通のやり方だそうで。

イモムシ君の体内で好きなだけ新鮮な内臓を食い尽くして、スクスクと成長していった蜂の幼虫は、サナギになるためにイモムシ君の体外へと出てきます。

と、ここからがこの蜂に特有なことが起こります。何とイモムシ君をギリギリ死なないようにしておくのです。

そして何と、サナギを狙って昆虫などが近づいてくると、イモムシ君が身体を揺すって昆虫を振り払ってくれるのだそうです。

つまりは、イモムシ君は自分の内臓を食い荒らされた挙句、彼らを残り少ない命を使って懸命に外敵から守ってあげるわけです。

サナギから成虫になった蜂たちが飛び立って行った後に、ようやくイモムシ君は静かにその息を引き取るのだそうです。

いつも穏やかなイモムシ君が、なぜサナギのボディガードのような振るまいをするのかの詳細は分かっていないそうですが、一つのヒントがあるのです。

それは、蜂の幼虫のうちの数匹は、イモムシ君の体内に残って何やらやっているらしいのです。この子たちは、サナギになることを諦めた勇気ある子たちなのですね。

きっとイモムシ君の筋反射を操って、外でサナギになった兄弟たちを守ろうと頑張っているのでしょうね。

とはいえ、散々な目に遭ったイモムシ君が一方的に一生を台無しにされたことは確かなのです。

こうした自然の摂理が作りだした物語が、今この瞬間も地球上では無数に起きているのです。やはり、神の摂理と呼びたくもなりますね。