誰でも一度や二度、何かの理由で相手に仕返ししてやりたいと思ったこと、実際に仕返しをしたという経験があるものです。
そもそも、仕返しとはどういった心の働きかということについて考えてみたいと思います。なぜなら、私たちは実は気付かぬうちにこの仕返しのために多大なエネルギーを費やしているということに気付いていない場合が多いからです。
子供の頃に兄弟げんかをして負けてしまい、欲しいものを相手に取られてしまったら、それがすごく悔しければいつかその仕返しをしたいと考えるものです。
その方法は、親に泣きついて相手をしかってもらうとか、その他さまざまな方法によって相手にぎゃふんと言わせてやりたいと思うのです。
もしかしたら、自分は何も手を下してなくても、相手の身に何か不利益になるようなことが起きただけでもざまあみろと思うこともあるかもしれません。
この仕返しというのは、相手という加害者から不当な不利益を被ったと感じたときに、その惨めでかわいそうな自分を守るために自分の気持ちを相手にわからせようとする行為なのです。
どれだけ自分が辛く惨めな思いをしたかを相手に理解させることができたら、仕返しはその目的を達成することになります。
しかし実際には、大抵の場合いくらそうしたことを期待しても相手に自分の気持ちを十分に分からすということにはならないものです。そのため、仕返しはいつまでたっても終わりません。
特に、幼いときの親に対する仕返しは、無意識のレベルで行われ、しかも大概一生かかってもそれは終わりません。そして、そのために自分の人生を台無しにしてしまうのです。
そのことについてもう少し深く考察したいと思います。
つづく