感情の層

人には沢山の感情がありますね。気持ちがプラスに向くような嬉しい感情もあるし、逆にマイナスに行ってしまう否定的な感情もあります。

感情はその都度必要に迫られて心の奥から上がってくるものですが、それを通り過ぎるとなくなってしまうものと考えられがちですが、実はしっかり味わわずに済ますと心の奥に戻っていって溜まってしまいます。

そうやって様々な感情が溜まって行くのですが、それぞれの感情は大抵互いに関連して、絡み合って大きな塊、もしくは層を成しています。

我々が一番奥底に隠し持っている感情は、罪悪感です。一口に罪悪感といっても、広く捕らえると自己嫌悪や自己否定などの自分に対するネガティブな感覚も含みます。

幼いときには、大人に比べれば当然未熟なわけですから、惨めな自分や情けない自分というものを数多く感じるはずです。

そうした自分に対するダメ出しが心の底辺にある罪悪感を膨らましていきます。それと同時に、そんなダメな自分を知られてしまうことに恐怖を感じるようになるのです。

みっともない自分、恥ずかしい自分、役に立たない自分をできる限り、隠そうとします。その言動力が恐怖なのです。従って罪悪感と恐怖は切っても切れない関係にあります。

また自分が惨めな思いをさせられたと思うと、それを隠そうとして恐怖が出てくるだけでなく、その相手に対して怒りも感じるようになります。

そうやって、罪悪感と恐怖にさらに怒りという感情が絡んでくることになるのです。ただし、怒りは、罪悪感や恐怖によって上手に蓋をされてしまう場合もあります。

自分に非があると思うと怒りが引っ込んでしまう経験をしたことは誰でもあるはずです。それが罪悪感によって怒りを抑圧した瞬間ですね。

また、あまりに恐怖が強いと、それだけで怒りなど出て来れなくなってしまいます。刃物を持った人に脅かされたら、それがどんなに理不尽なことだろうと怖くて怒れないのはそういうことです。

このように、罪悪感と恐怖と怒りが幾重にも重なって複雑に絡んだ状態で心の中に溜め込まれています。そのパワーが人生に多大な悪影響を与えるのです。

癒しの一つの重要な作業は、このように絡んでしまわれている感情を一つひとつ丹念に見てほぐしていきながら味わって開放していくことなのです。