片栗粉

片栗粉を水に溶かしてドロドロの溶液を作ると、とても不思議な現象が起きるのをご存知でしょうか?その溶液は、瞬間的な力には岩のように固くなり、ゆっくりした力には液体のように反応するのです。

例えば、バケツにその溶液を満たして、上からコブシでできるだけ早く突けば、セメントのように固い物質になるし、普通にコブシを入れればただの溶液のままであるのです。

これを使ったお笑いの番組を見た事があります。プールを小さくしたくらいの中にその溶液を満たして、そこをお笑い芸人たちが走って渡るというものです。

両足を速く上下させて走れば、固いものの上をただ走っているように渡りきることができるのですが、疲れてきて足の速度が遅くなると、途端にズブズブっと溶液の中に沈んで行ってしまいます。

走らなくても、ものすごく速く足踏みをすればその溶液の上にいられるのですが、いずれは疲れて足踏みが遅くなり、沈んで行ってしまうというお笑いでした。

それを見ていてイメージしたことがありました。それは、ある人の人生です。その人は毎日をのんびりと過ごすことができなくて、常に走り続けているような人でした。

いつも走り抜けていくその人が、たまに立ち止まることがあったとしても、決して速い足踏みをやめられないのです。もしも、止めてしまったらその人の人生がズブズブと沈んでいってしまうと本人が思っているかのようです。

いつも多忙にしている人、これといって何かをする必要もないときでも、常に身体を動かしているような人、このようなタイプの人は大抵瞑想することが苦手かもしれません。

瞑想は自分の内面にズブズブっと入っていこうとする行為です。それが怖いために、常に走り続けているのです。本人はそのことに気付いていない場合が多いかもしれません。

一度片栗粉の溶液の中に沈んで行っても、何でもないという経験をしてみるということをお勧めします。きっと、分からないないようにしていた様々なことに気付くことができるはずです。