人生に間違いなどない

自我にとって目的を持たずに生きていくことは、とても難しいことなのです。だからいつも、目的や目標を抱いて、それを目指して毎日生きているのです。

この年齢になって、そのことをはっきり自覚できるようになりました。クライアントさんとセッションをしていると、どこかに目的地があると信じているのを感じます。

何者かになろうとしていたり、いつか必ずこうなるだろうという期待、今はまだ無理だけど目標を達成すれば人生は喜ばしいものになるに違いない。

こうした欲望があるから、辛い今を我慢して生きているのです。まだ先はあるという思いが、人生を諦めずにいられる理由なのですね。

けれども残酷なようですが、人生はどこにも向かってはいません。終着地など存在しないのです。いつも今がずっとあるだけです。

このことをひとたび実感することができれば、たちまちあらゆる執着や不安が小さくなってしまうでしょう。

なぜなら人生を間違って生きることなどできないと分かるからです。これまでに人生を顧みて、取り返しのつかない生き方をしてきてしまったと思うこともあるかもしれません。

その気持ちは理解できますが、人生はどこにも向かってはいないのですから、正しいも間違いもないのです。

到着地があると思えば、そこから外れてしまったということも起きるでしょうけれど、そんなものはないのでどんな間違いもないということです。

それが分かってくると、後悔もなくなるし、自分の人生を他人のそれと比べることも無くなるでしょうね。