自然は冷酷ではない

苦手な人も多いと思うのですが、カマキリは交尾した後、メスがオスを頭からムシャムシャ食べてしまうという習性を持っています。

子供を育てるメスにとっては、これから栄養を沢山摂らなければいけないので、一番身近にいるオスの身体を栄養源として使うということです。

こんなひどい話はありません。もしもカマキリに生まれ変わるとしたら、絶対にオスは嫌ですよね。

カッコウという鳥は、全く違う鳥の巣を見つけては、そこに卵を産み落とすのですが、その時にその巣に元々あった卵を一つくわえて立ち去ります。

理由は簡単。卵の数合わせをやっているわけですね。親鳥が戻ってきたときに、気づかれないようにしているのです。巧みですね。

親鳥は、自分の卵の代わりにカッコウの卵が置いてあるなどとはつゆ知らず、それを大切に暖めて過ごすのです。

無事にカッコウのヒナが卵から孵ると、何と他の卵やヒナを一つずつ巣から蹴落として、自分だけが餌をもらえるようにするのです。

親鳥は、自分の可愛い子供を死に追いやった敵であるカッコウのヒナに、献身的に餌を運び続けるという皮肉。

カマキリもカッコウも、どちらも根性が曲がっているというわけではなくて、種の保存のために自然が生み出した戦略でしかないのです。

私たち人間の目でそれを見るから、あまりにも酷過ぎると感じるだけであって、自然というのはそんな我々の感性などお構いなしです。

これだけでも、如何に私たちが自分たちに都合の良いように物事を歪んだ目で見ているかが分かります。

自然が冷酷なのではなく、こちらの見方が勝手な解釈を作っているだけだということに気づく必要があるのですね。