我が家の非常識

子供は、好むと好まざるとにかかわらず、生まれた家庭の影響を色濃く受けて成長していきます。自分の家のルールや家族関係などがその子にとっての標準となるのです。

私が小学生のときに、友達の家で初めてカレーライスを食べたときに、他の家ではソースをかける習慣があるということを知って、本当に驚いたのも当然なのです。それまで、我が家では何の迷いもなくカレーには醤油をかけると決まっていたからです。

友達の家で遊んでいるときに、友達のお母さんがあまりにもやさしいので、びっくりしたという話しは今までに何度もセッションで聞いたことがあります。

それくらい、自分の家の様子が子供にとってはふつうになっているということです。勿論、年齢とともに次第に外の家がどうなっているかということに気づいていくため、社会の標準というものを知るようになっていくのです。

そうなって初めて、自分の家が特別だったのだということに驚かされるわけです。けれども、子供が家の中でとても大きな恐怖を親との関係に感じていると、自分の家を客観視することが遅れてしまうのです。

なぜなら、外の世界をありのままに知ってしまうと、自分の親を否定するような心が芽生えてしまうため、それは本人にとって生きていくのに都合が悪いからです。

だからこそ、自覚のないままに自分をだまして、外の常識を見ないようにして、自分の家や親が普通なのだと思い続けようとするのです。

そうした自分騙しは、思いの外強力であって、大人になってもそうした洗脳は残っていることが多々あるのです。セッションなどでするどく指摘されて初めて、自分の生まれ育った家を正直に見ることができるようになるのです。

そして、ようやくそこから癒しを進めていくチャンスが生まれるのです。癒しとは、ある意味偏向した見方をしてきたことに気づき、どんな色眼鏡も少しずつはずしていって、あるがままを受け止められるようになることだとも言えます。