私は23歳から45歳までの22年間、ごく普通のサラリーマンをしていましたが、毎朝起きてから会社に出かけるまでの時間が一番辛かったのを覚えています。
具体的に何が辛いということでもないのですが、とにかく今日一日がまた始まるということが辛かったのです。職場に行ってしまえば、それなりに仕事をするのである意味平気になってしまうのです。
夕方くらいになると、結構調子がよくなってきて自分なりに元気が出てきたのが分かるのです。そのあとのお決まりになっていた残業時間は、もっとも効率的に仕事ができる時間帯でした。
そして次の朝起きると、また面倒くさいという重しのような気持ちに圧倒されてしまうということを、毎日繰り返していたのだろうなと思うのです。
一日のうちのどの時間も、決して自分に正直ではないということはないのですが、それでも朝のあのイジイジした心の状態が一番正直な心の状態を表していたと感じます。
身体が重くて動かないというところまでは行ってないにしても、何となくの無気力な状態でしたから、一般的には「うつ」の症状だったろうと思います。
けれども、今思えばその時のいやな感覚がなければ、今の仕事には就いていなかったはずです。人生がうまくいっていないと感じるときにこそ、大切な気づきがやってくるのです。
そのことは、肝に銘じてあるはずなのですが、毎日がうまく行くようになるとすっかり忘れてしまい、気づきのない毎日になってしまうのです。
だからいつも、何かうまくいってないと感じる部分が少しはあった方がいいということです。人は完全であることはできません。したがって、あるがままの自分に正直に寄り添うことができれば、何かはうまくいってないと感じるはずなのです。
その部分を逃げずにしっかり見て、丸ごと受け止めることができるなら、最大の気づきが訪れて、問題は自然と消滅するか、どうでもよくなっていってくれるのです。