問題行動は心の叫び

私の知り合いの男性で、実家で家族と暮らしている間は、無類の劣等生だった人がいるのですが、彼は高校を卒業すると同時に上京して一人暮らしをしながら、予備校生として勉強し出したのです。

すると、あれよあれよという間に成績がトップになって、結局東大医学部と慶応医学部に合格してしまったのです。勿論、それはたまたま運が良かったということではなく、予備校の講師からこの成績ならどこの大学でも受かると太鼓判を押されていたということです。

彼は変わった人で、せっかく合格した大学を中退して独自の民間療法を立ち上げて、それを生業としている人でした。彼は、実家で暮らしているときにわざと勉強しなかったわけではありませんでした。

親兄弟や親せきなども全員が東大卒という頭のいい一族だったのですが、彼だけはいくら叱咤激励されても一向に成績がよくなることはなかったそうです。

その理由は、彼の話しを聞いてすぐに理解することができました。それはつまり、成績が悪いのは問題行動だったのです。成績が悪い子供の彼を周囲は否定し続けたのですね。

自分は勉強したくないという本音をあまり表現することなく、悶々としながらも表面的には一生懸命勉強していたのです。それが悪い結果を導いてしまったのです。

つまり、勉強は嫌いだからということを徹底的に表現することができていたら、きっと彼はたとえ勉強せずともかなり好成績を取ることも可能だったはずなのです。

けれども、自分を騙して勉強したために、自分の本当の気持ちを激しく抑圧してしまったために、影なる反抗勢力となって問題行動が起きてしまったということです。

上京して一人になったおかげで、彼にプレッシャーを与える家族がいなくなったおかげで、素の自分に戻れたのでしょう。だからこそ、彼本来の能力を思う存分出し切ることができたのです。

問題行動は、本人の自覚なく起きてしまうので、一番困ってしまうのは本人自身なのです。問題行動は、あらゆることに見受けられますが、基本的には親への訴えですので、反社会的であったり、それを知ったら親が心配したり悲しんだりするようなことでなければならないのです。

もしも、あなたがそうした類のことをやめられずにいるとしたら、間違いなく問題行動であると思っていいのです。問題行動は、自分の人生を棒に振らせることにもなりかねませんので、その原因となる親への不満、訴えたい気持ちをよく思い出して、それを全面的に味わって、受け入れていくことです。

そうやって、心の癒しが進んでいくことで、少しずつ問題行動は緩和されていくはずです。