死は自分自身からの解放

ここ10年くらいの間に起きた自分の内面の変化のうち、もっとも際立っているもの、日々の生活に強く影響したものはなんだろうと考えて見ました。

実はいろいろあるのですが、やはり一番は一口に言ってしまえば死生観が大きく変わったということです。

生きるということは、常に死ぬことをどう捉えているかが強く影響しているのです。だから、死に対する感覚が変われば生き方もおのずと変化するのです。

若い頃は、死は自分には来ないもの、自分以外の誰かが死ぬという思いがあったのですが、年齢とともに死がより身近なものとなったのです。

だからこそ死を真正面から見ることになり、その結果忌み嫌うべきものだった死が、ある意味歓迎すべきものという部分が大きくなってきたのです。

死は解放です。あらゆるものからの解放というだけでなく、自分自身からも解放されるということが救いなのです。

私たちは誰もが強制されたわけでもないのに、自分という自我を作り出して、その罠に深くはまり込んだ状態で日々過ごしているのです。

そしていつかは死がその罠から解放してくれるのですから、十分に安心して思い切り罠の中で楽しめばいいだけです。

それが気楽さを生み、無防備で清々しい人生にしてくれるのです。もちろん自我はそれでも、なんとかして苦しみを生み出そうと頑張りますが。

そんなこんなをすべてひっくるめて、救いがくるまで楽しめばいいのですね。