人間関係から学ぶ

人は生きている間に様々なことを学んで成長していきます。学業としての学びもあるし、仕事を通して学ぶこともできるでしょう。でもなんと言っても一番多くを学べるのは人と人との関わりあいの中でなのです。

それはなぜかと言うと、自分の心の深層にある潜在意識や無意識といった、通常自分では意識できない部分を他人に投影して見ているからです。人の心は一枚岩ではなく、自分では伺い知れない部分を沢山持っています。

他人はその未知なる自分自身の部分のことを教えてくれる何とも貴重な存在なのです。だから、他人との関係を通して、自分自身をより深く知っていくことができるということです。それが本当の学びというものです。

それなのに、人間関係に何らかの悩みを抱えてセラピーに来られる方々が大勢いらっしゃるのも事実です。もっと言うと、人間関係に全く何の問題も感じないという人を探すほうが難しいくらいではないでしょうか。

つまりそれは、自分自身の心の中で分裂が起きていて、その中で互いにうまくやっていけてない関係の意識たちが沢山いるということなのです。ものすごく修行を積んだ仙人のような人であれば、独りで山篭りして自分の内面を深く見つめることでたった一人でも多くを学ぶこともできるかもしれません。

ですが、私たちにはそれは難しいでしょう。だから、そんな難行苦行をする代わりに他人との関わりを見つめることで、仙人と同様に自分を知ることができる可能性があります。可能性があると言ったのは、そのつもりで逃げずに人と向き合うことがどうしても必要であり、それを避けていると学びは少なくなってしまうからです。

ちょっと受け入れがたいかもしれませんが、自分の周りにいるどんな人も、それに対応する部分を自分の内面に持っているということです。つまり、他人は自分ということですね。先ほどは投影という言葉を使いましたが、まさに心の中のある部分を映写して、自分の外側に映し出しているのが他人だと思えばいいのです。

これは、比喩ととらえていただいてもいいし、現実にそうなのだと思っていただいても構いません。どちらにしても、我々は人を通して自分を見つめることしかできないのですから。

なぜ投影などということを知らず知らずにやっているのかという話は次回にします。