物事には両面がある

私は幼いころに「猩紅(しょうこう)熱」という病気に罹って、40℃を越えるような大変な高熱を出したことがありました。

そのころは、死亡することもある疾患として恐れられ、法定伝染病にも指定されていたのですが、1999年に施行された感染症新法により、法定伝染病ではなくなったそうです。

そんな高熱であれば、当然のごとく解熱剤を投与して熱を少しでも下げる必要があるのは言うまでもありませんね。

けれども、風邪などをひいてごく一般的な発熱などで、やみくもに解熱剤を使うのはあまり勧められるものではありません。

なぜなら、身体は自浄作用を促進するためにわざわざ発熱しているのですから、その熱を外部から強制的に奪ってしまっては、身体の能力を阻害することになるからです。

つまり、発熱したときに解熱剤を使うかどうかは、一意には決められない両面があるということです。

また、風邪をひくと、場合にもよりますが、食欲がなくなってしまうこともあるのですが、そんなときにむりやりにでも栄養のあるものを沢山食べて、体力をつけるのがいいと言う人がいますね。

勿論、栄養失調になるくらいに食事をしないようでは、体内の菌と戦うエネルギーがなくなってしまうので、病気が長引くことになるでしょう。

けれども、食欲がないということは、身体がモノを食べることを拒絶しているという観点で見れば、ただ食べればいいということではないのです。

野生動物が怪我などをした場合には、ただ静かにして何も食べずにいることによって、傷を癒す身体の能力を最大限使おうとするのです。

何かを食べてしまうと、それを消化吸収するために多大なエネルギーを必要としてしまうために、傷の修復や病気の治癒がかえって遅くなってしまうのです。

病気の場合に限らず、このようにして物事には両面があるということです。ですから、何がなんでもこれが正しいという硬直化した考え方をしないほうが得策ですね。

自己防衛のために、正しさにしがみついた心で生きていると、大切な気づきからも遠ざかってしまう可能性が大きくなってしまいます。

どんな場合でも、融通の利く広い心で生きていたいものですね。