セラピストの言葉を鵜呑みにしない

先ほどある映画を観ていたら、ある登場人物が聞き覚えのある言葉を言ったのです。すぐにそれは、デビッドボウイの Space Oddity というヒット曲の歌詞だと思い出しました。

しばらくすると、その曲自体が流れてきて、本当に懐かしくてたまらなくなったのです。高校生の時に好きだった曲が、自分にとっては未だに魅力的なのですね。

デビッドボウイは、出で立ちはちょっと異色で、気持ち悪いのですが、そんなことはどうでもよくなってしまうくらいに、彼が作った曲やそのアレンジが秀逸で、いつも聞き惚れていました。

私にとっては、彼は間違いなく10年に一人出るかどうかの天才だったと思うのです。彼の作品のすばらしさに感動できた自分にとっては、彼がどんな格好をしようが、ゲイだろうが何だろうが一向に構わないのです。

私にとってはいつも作品がすべてで、作者がどんな人でどんな考え方を持っているかなどには、ほとんど興味が湧かないのでした。

ところが、最近それとは真逆のニュースがテレビ番組を賑わせています。クラシック音楽としては異例のヒットを飛ばしたある作曲家が、実はゴーストライターを使っていたというニュースです。

ベートーヴェンと同じ耳の不自由な作曲者という触れ込みで人気が出たらしいのですが、インチキが発覚したとしても、本来ならその作品がすばらしければいいわけです。

けれども、やはり作曲者のプロフィールに話題性があったということなのでしょうか、さまざまな賞などが剥奪されてしまうというのを聞きました。

芸術だけでなく、言葉にしてもそれを誰が言ったのかということに重点が置かれてしまう傾向があるのです。あの著名な人の言葉なら本物に違いないとか、あの名高い高僧の言葉だからありがたく聞こうとか…。

誰の言葉であろうと、それを決して鵜呑みにしないことです。セッションの時のセラピストの言葉であっても同じことが言えます。簡単には信じないことです。

その代わり、興味があると感じたなら、自分の身を使って実践することで、その真偽を確かめることがとても大切なのです。そうでなければ、本当には身に着かないからです。

そんな心づもりで、セッションに臨んでいただけたらとても嬉しいと思っています。