感情と無防備に向き合う

私たちにとって、怒りや悲しみ、恐怖や罪悪感といったいわゆるネガティブな感情というのは、できることなら感じたくはないものですね。

そのために、幼いころにはっきりとした自覚のないままに、そうした都合の悪い感情を見ないようにしてしまうということが起きるのです。

それは、その本人の繊細過ぎる気質や、生育環境があまり安心できるものではないなどの要因が強ければ強いほど、感情を抑圧する度合いも大きくなってしまいます。

一度感情を抑圧する回路が心の中に出来上がってしまえば、もう意識することなしにほとんど自動的に感情の抑圧が起きるので、本人としてはある意味楽になるのです。

けれども、人生におけるその代償は計り知れないものとなってしまいます。たとえば、悦びや感動といったポジティブな感情さえも、あまり感じることができなくなってしまうのです。

つまり、喜怒哀楽のない平坦な心を持つロボットのような人物になってしまう可能性すらあります。また、抑圧された感情は消えることなくそのすべてが心の奥に蓄積されてしまいます。

そうなると、巷で言うところの引き寄せの法則どおり、溜め込んだ感情のエネルギーに見合った現実を引き寄せてしまうことになるということです。

恐怖がたくさん溜まれば、怖がりながらの生活を余儀なくさせられてしまうし、実際に怖い体験をする可能性も高くなるのです。

怒りをたくさん溜め込んだ人は、その後の人生で理不尽な目に遭ったりしてやはり激怒せざるを得ない経験を呼び寄せてしまうことになります。

こうしたことは、この世界の法則なので努力で何とか克服できるようなものではありません。そこで、単純に自分の心にどんな感情がたまっているのかを見てあげる必要があるのです。それが癒しです。

自分が、どうあるべきかにエネルギーを使う代わりに、今この瞬間自分の心がどうなっているのかに意識を向けるのです。過去を探るのは、過去が大切だからではなく、今どんな感情があるかを見るためです。

徹底的に見ることにより、必要なことが自動的に起きるはずです。感情と無防備に向き合えば、次第に心の奥底に光が差し込み、癒しが自動的にやってくるのです。