以前から記憶って一体何だろう?と疑問に思うことがありました。ただこれといった結論が出ることはこれまでなかったのですが…。
瞑想の中に入って行った時には、記憶を使わずにいる時間がやってくるので、記憶はなくても生きてはいられることは明白です。
空気や水、そして太陽の光がなければ生きていくことができないということを考えれば、記憶はそれほど本質的なものではなさそうです。
ただし、社会の中で人々と共に生きていくには記憶は必須だと分かります。あるいは、この人生物語を生きていく上でも記憶は重要のようです。
なぜなら、物語というのは今この瞬間だけではなく、過去から未来へと続く時間の流れの中で進行するものだからですね。
だから記憶(過去の情報)がなくなってしまえば、物語の中にいられなくなってしまうわけです。
ところで短期記憶がなくなりつつある母親を見ていると、気づかなかった記憶の役目が見えてくることがあります。
それは、マインドが穏やかで比較的安心している状態では、殊更に記憶を使わなくてもいられるのです。
けれども、マインドが一度でも不安の方に振れてしまうと、やたらと記憶を呼び戻そうとしているのが分かるのです。
記憶を頼りにして、なんとか安心しようとするのですね。そうして記憶がないものだから、さらに不安を増幅して行ってパニックのようになるのです。
そういう姿を見ていて思うのですが、できるだけ意識的であるようにして過去や未来を必要としない今この瞬間にいられるように、今のうちから練習する必要があるということですね。