感情を味わうことが人生を助ける

きっと多くの人は体験したことがないので知らないことだと思うのですが、充分に感情を味わい尽くすと、えっ?と思うようなことが起きます。

それは例えば、どれほど自分に言い聞かせても変えることができなかったことなどが、勝手に変わっていくのです。

自分の考え方の癖や生き方など、それがどれほど不便で理不尽なことであったとしても、簡単には変わらないのが人間の常ですね。

つまり、理性ではどうしようもないことを私たちは知っています。ところが、まったく関係のないと思われる過去の感情をしっかり味わうだけで、変化は勝手に起きてくるのです。

それはとても不思議な感じがするはずです。例えば、私自身の経験で言うと、自分は悪くないという幼い頃の怒りを何度も味わったことがあるのです。

その結果、翌日には人との間に作ってしまっていた対立が勝手に取れてしまったのです。もちろん、取れるまではそんな対立があったことも知りませんでした。

あるいは、得体の知れない過去の感情をただ味わっただけで、それまでより自然体でいられるようになったことがありました。

その結果、歩く速度がゆっくりになり、前のめりだった体の重心が、踵の方へと移動したのを感じたことがありました。

このように、その感情を味わったことと、その結果にどのような関連性があるのかはすぐには理解できないくらい不思議なのです。

けれども、実際にはじっくり見つめていくと、そこには確かに関連性があると分かるのです。

そして、考え方や思い、あるいは生き方を頑なにしてしまっている張本人は、感情だったと言うことが分かったのです。

思考をぐるぐる巻きにして、岩のように硬いものにしていたのは感情だったのです。だから、理屈抜きに感情を味わうことがとても大切なことなのだと気づいたのですね。