癒しの自己矛盾について

セラピストとして日々取り組んでいる心の癒しというのは、実のところ決定的とも言える自己矛盾を抱えているのです。

その矛盾とは何かというと、癒しというのは一般的にはマインド(自我)の癒しのことを指すのです。

自我はその成り立ちからして満ち足りるということができません。なぜなら自我の原動力というのは、不安や孤独を安心に変えようとすることなのです。

安心を得ようとして多大な防衛を続けることで、自己犠牲を重ね、精神を病んでしまうことになるのです。

その精神的病みを少しでも正常な状態へと戻そうとすることこそが、癒しの目的なのです。

ということは、癒しを続けて行った先にあるのは、自我の原動力を削いでしまうことに繋がることは容易に想像できるのです。

つまり、自我を癒していくことは、自我の活動を終わらせてしまうことにつながっているということです。それを自己矛盾と呼んだのです。

だから癒しを程々にして、ある程度の心の健康を維持できるようになったなら、それからは癒しよりも自分の本質を探求するようにするべきだと思うのです。

もちろん最初から、癒しと探求を同時に進めていくことも可能ですが、いずれにしても人生のどこかで、本質の方に目を向けるように意識変革が起きることを願っています。