無力感と戦わない

幼い頃に私たち誰もが心の底で感じていること、それは無力感です。それは、あまりにも当然のことなのです。なぜなら、ほんの2歳くらいのときに自意識ができてしまうからです。

つまり、満足に話すこともできず、思うように自分の身体を使うこともできないような時に、自分がここにいるという自覚がやってきてしまうわけです。

周りにいる大人たちと自分を比べたら、どうしようもないでくの坊に自分を見てしまうのも当然と言えますね。自分には、できることよりもできないことのほうが圧倒的に多いのですから。

そして、自分にはできないというその無力感が最大に発揮される領域は、自分以外の誰かのことを助けてあげることができないというところです。

幼い子供は大好きな人が笑顔でいて欲しいと本能的に感じています。小さな子はみんな、お父さんやお母さんの穏やかな表情に自分自身の安らぎを感じるからです。

勿論、残念ながらいつもいつも両親の心が平安であるというわけにはいきません。二人がいがみ合ったり、両親が元々抱えていた不安を露出したりするときがあるはずです。

子供は、その否定的なエネルギーそのものにも傷ついてしまいますが、それと同時にそれを何とかして助けてあげようとして、それができないと分かって自分の無力感に気が付いてしまうのです。

無力感は、罪悪感や自分への存在否定、あるいは悲しみなどの感情として心の中に蓄積していってしまいます。その結果、自分の力で自分は無力ではないということを証明しようと必至になるのです。

結局、大人になってふと自分の頑張りの原動力を深く見つめてみると、自分はダメではない、無力ではないということをこの社会で証明することだったと気づくことになるのです。

あなたの心の奥にずっと昔からある無力感を、正面ど真ん中から見てあげることです。それを否定も肯定もせずにただそのままを受け入れることです。

そうやって、かつて必然的に作ってしまった無力感と戦わなくなれたとき、あなたの人生の目的が自然と変わり始めます。あなたは、どんなことも証明する必要など、最初からなかったのですから。