お金の功罪

ほとんどの人は、お金をたくさん欲しいと願っているはずです。お金さえあれば、欲しいものは手に入れることができるし、生活の心配をする必要もないからですね。

お金さえあれば、嫌いな上司のもとで、我慢しながらいやな職場で仕事をする必要もなくなります。もっとお金に余裕があればと思うのは、無理もないことです。

私自身も、どこかに当たった宝くじでも落ちてないかなあ、などと都合のいいことを考えていたりします。お金で幸せが買えるとは思ってないにせよ、金持ちにもなってみたいと思わない人はいないでしょう。

けれども、お金が有り余っていると、都合の悪いことから目をそらしたまま生きていく傾向が強くなるのです。なぜなら、お金を使ってレジャーや気晴らしで人生を費やし続けることができてしまうからです。

セッションにいらっしゃるクライアントさんの中には、裕福な方も確かにいらっしゃいます。でも、その割合は少ないかもしれません。

一生困らないだけの財産をお持ちのクライアントさんもいらしたことがありましたが、それはとても稀なことです。その場合には、ご本人が大きな不自由を抱えていらしたという事情がありました。

一般的に考えて、金銭的に何の不自由もない人は、心の癒しに前向きとは言えません。わざわざ面倒なことをしなくても、面白おかしく生きていけるような気がするからです。

明日のパンを買うお金がないようでは、今度は癒しどころではなくなってしまいますが、ちょうど適度というのか、お金がもっとあったらセッションにもっと通えるのに、というくらいがちょうどいいのです。

一度のセッションが貴重に感じられるでしょうし、そうなるとセッションに向ける気持ちが強くなるからです。さらには、お金が欠乏することへの恐怖から逃げずにいることで癒しは進んでいくのです。

そういう意味で、私はこの仕事を通して、お金は心の癒しととても深い関連を持っていることを知りました。お金は生きていけるだけあればいいのです。

そしてさらに、癒しが進むとよりお金を手に入れるようになったとしても、もう大丈夫。そのことで、自己防衛がまた強く復活することはなくなるからです。