私たちは年齢を重ねるごとに、様々な経験を積むことによって知識や知恵が豊富になったりして、立派な大人へと成長していくわけです。
幼い頃は、暗いところが怖かったのに、全く大丈夫になってみたり、ひとりで留守番ができなかったのに、一人が快適に思えるように変化します。
すぐに気分を悪化させるような自分だったのが、よほどのことが起きない限りはかなり冷静に対処することができるようになったり。
そうやって、ありとあらゆるところが未熟であったのに、少しずつゆっくりとではありますが、成熟した人間へと向かっていくのです。
しかしながら、自分の心の中心の部分を見つめてみると、あの幼かったころと何ら変わっていないのではないかと思われてきます。
一人の人間としては、対外的にも内面的にも大きく進化しているのでしょうけれど、自分のコアとなるところは、あの頃のあの自分が以前と何も変わらずにあるのです。
それは、正確には自分が何歳のときのことかはわかりませんが、突如として「ここに自分というものがいる」ということを知ってしまった、あの時の自分なのかもしれません。
そのときにこそ、この自分という自意識が発生したのでしょうけれど、それが自分であるとの思いそのものはきっと死ぬまで変わらずにあり続けるということなのですね。
あの時以降に起きてきた自分の変化というのは、本当の変化というよりもそのコアの部分の上にいろいろなモノを付加していっただけなのではないかと感じるのです。
そうやって考えてみると、この自分との付き合いは本当に長きに渡って合いも変わらずに続いてきたのだなと思うのです。
そして、そのコアの自分はこれからもこのままにいるし、そのまま死んでいくことになるのだろうと。そのときには、全く変わることのない自分にご苦労様と声をかけてあげるかもしれません。