誰の場合もそうですが、幼いころは一生懸命、精一杯生きています。大人になって怠けているということではないのですが、子供の頃は大人が考えるほど余裕がありません。
沢山のクライアントさんの幼い頃の出来事をご一緒に再体験させてもらっていると、本当にそうしたことを実感することができるのです。
一生懸命というのは、概ね3歳前後くらいから始まって、少しずつ成長するに従って余裕ができてきますが、場合によってはそのまま余裕のない状態で成長する事も充分あります。
例えば、家族の人間関係の微妙な状態をいち早く察して、丸く収まるように取り計ろうとしてみたりするのです。
そうやって自分の気持ちよりも家族の気持ちを優先するクセがついてしまいます。きっと、正直な自分の気持ちを伝えたところでいいことはないだろうと思ってしまうのです。
そうすると、知らぬうちに自己犠牲を強いることが日常的になっていきます。例えば買って欲しいものがあるのに、それを言い出すことができなくなったりするわけです。
当時の幼い本人としては、誰に教わったわけでもないのに、自分はこうするべきというようなルールが早くも出来上がっていて、それに従って毎日必死に生きるようになるのです。
本当は、買って欲しいということを何度も伝えることをすれば、親はもしかしたら買ってくれたのかもしれないのですが、そうしたルール違反をしなくなってしまうのです。
そして、大人になって自分は欲しいものを買ってもらうことができなかったという記憶だけが残ってしまったりするのです。
子供の頃に必死で生きていたときに従っていたそのルールや思い込みをもう一度じっくりと見直してみることはとても大切なことです。
そうして、別の角度から過去を振り返って見てみると、当時は気がつくはずもなかった全く違う生き方があるということが分かってきます。
その新しい生き方を利用して、イメージの中で過去を書き換えることで大人の自分が呪縛のように抱えていた様々なわだかまりなどを手放していくことができるのです。