人の心を扱うときには、必ずと言っていいほどインナーチャイルドの話しが出てきます。インナーチャイルドという言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
インナーチャイルドとは、現在の大人の自分の心の内部に住んでいる、幼いころの自分の人格(の断片)のことです。そういうことを知っている人も最近ではとても増えています。
けれども、そうした人であってもきっと多くの人たちは、それはたとえ話に過ぎないと思い込んでいるはずです。私だって、この仕事をする以前はそう思っていました。
ところが、実際に多くのクライアントさんとのセッションを通して、インナーチャイルドは実在するということに気づきました。それは、今の自分という人物がいるのと同等くらいに確かなものです。
本当に、過去に生きていた人格の寄せ集めのようなものとして存在しているのです。さらに、それは気づかぬうちに現在の自分を裏でコントロールしている張本人でもあるのですから、簡単に済ますわけにはいきません。
年齢退行の催眠療法のセッションのときに、たまに大人の本人の意識がどこかへしまわれてしまい、子供のころの人格(意識)だけになってしまう方もいらっしゃいます。
つまり、インナーチャイルドだけになってしまうということです。そのようなケースを体験させていただくと、明らかにインナーチャイルドが実在すると感じるのです。
癒しの過程の中で起きることの一つに、このインナーチャイルドと現在のご本人との距離が小さくなっていくということがあります。自分にとって、都合の悪い感情をたくさん抱えているインナーチャイルドを無意識的に遠ざけてきたからです。
二人の距離が縮むと、理性ではなくて感情的に自分のインナーチャイルドに対する憐れみの気持ちや、本当に申し訳なかったという思いが自然とやってくるのです。
もしも今あなたが、自分のインナーチャイルドが遠い存在だと感じているなら、いつかはきっとその子のために心から泣いてあげられるときが来るということを信じることです。
いつかはきっと誰もがインナーチャイルドと和解するときがくるのですから。