あなたは、自分の心の中にあるものがすべて過去によってできているということを知っているでしょうか?何かの思い出に浸っているとき、昨日の誰かの心ない言葉に口惜しさが込み上げてきたとき、そのネタが過去にあることは誰だって知っていますね。
けれども、過去を想起するようなこともなく、今目の前にいる人の言動に腹を立てているときも、独りぼっちで寂しいと感じているときも、実は心の中は過去で満たされているのです。
つまり、周りで起きていることがたとえ今この瞬間であったとしても、それにどのように反応するかという心の在り方を決めているのは、過去なのです。
そして場合によっては、今この瞬間に明日のことを心配しているとしても、それも過去から直接やってきた不安が根っこにはあるということです。未来のことを思い煩うのも、過去の心なのです。
このようにして、心は過去によって出来上がったものであるということがわかります。過去から出来ている心は、都合のいい体験を未来にも期待し、都合の悪い体験を未来から排除しようとするのです。
実は、それが私たちの苦しみの根本原因なのです。なぜなら、通常は心が期待するような未来がそのままやってくるということはあり得ないからです。
もしも期待通りの未来がやってきたという体験をすると、次からはもっと強い期待を未来に対してするようになり、いつかはその期待が裏切られて辛い思いをすることになります。
心というものはそれが仕事みたいなものなので、どうしようもありません。心の中で発生する思考も感情も、すべては過去と未来の申し子でしかありません。
それを否定するのではなく、それを何とかして意識を今に向けようとするのでもなく、ただそんな自分の心を見ている立場になればいいのです。
あなたの大切な心を改革しようとしないことです。なぜなら、その改革の原動力は間違いなく過去にあるからです。心に対して何もしないことです。
何もしないということは、結果としてただあるがままを否定することなく見るということです。見ている自己は今この瞬間にあるのですから。それが、瞑想的に生きるということなのですね。