今のためにこそ今がある

あなたが子供のときに、「○○ちゃんは、大きくなったら何になるの?」とよく聞かれたと思います。そんなとき、あなたは無邪気に分からないと答えるか、相手の期待に応えて「○○になる」と言ったりしたはずです。

いずれにしても、そうした子供への問いかけが繰り返されるたびに、子供は自分は何かにならなければいけないのだということを教えられてしまうのです。

そうして、成人するころになると、少しずつ本気で考えるようになるのですが、そう簡単に自分の将来を決められるはずはありません。それほどの体験もしていないのですから。

社会の一般常識的にも、自分の将来を明確に描くことがよいとされています。何の目的もなく、その日暮らしのような状態では、誰も評価をしてくれません。

社会やこの世界が一丸となって、未来に向けて今日を生きるように仕向けてくるのですから、落ちこぼれないようにと誰もがエネルギーを使うようになるのも当然のことかもしれません。

けれども、実は私たちはどこへも向ってはいないのです。仮に到達点を設定したとしても、それはクリアした途端に次の目標を必要とするのですから。

未来のために今があるとする生き方では、どこまでいっても満たされるということがありません。それは間違いなくエンドレスだからです。

本当は、今のためにこそ今そのものがあるのです。そして、今とは私たちの本質なのです。それは、永遠不滅であり、時空を超えた何かです。

そこに意識を向け続けるなら、改善や進化のないところから、それを望んでやまない個人としての自分を抱きしめてあげることができるのです。

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by クリシュナムルティ

「人生の最大の障害物の一つは、何ものかに到達し、何事かを達成し、何ものかを獲得しようとして行なう不断の努力である。」

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