人生物語は続く

幼い頃に、たった一度だけ親にせがんで絵本を買ってもらったことがありました。それは「一寸法師」の絵本です。

小さくてか弱い主人公が勇敢にも悪を倒して、最後には打ち出の小槌で大きくなってお姫様と結ばれるという物語ですね。

小さな一寸法師に幼い自分を投影していたんだと思います。そんな物語ほど刺激的ではないにせよ、私たちは誰もが自分の人生物語を日々経験しています。

そしてその人生物語をリアルだと信じています。けれども、リアルなのは経験だけで、人生というのはあくまでも作り物の物語なのです。

物語は、過去から未来へと流れていく時間の中であらゆる原因と結果の繰り返しを継続していくわけです。

けれども、それがどれほどリアルに感じたとしても、妄想の類でしかないということです。イメージであり、作り物なのです。

果てしなく続く時空間の中にあらゆるモノが存在して、その中に自分や他人やその他の生物や鉱物があるのだと。

いい人もいれば悪い人もいて、自分という個人はその中でもみくしゃにされなが悲喜交々の毎日を送っていると思っています。

でも冷静になって外側を見回してみると、外側も内側もイメージに過ぎないと分かります。その結果全ての知識もイメージだったんだなと。

とはいえ、これまで続いてきた物語がここで終わることなく、また淡々と続いていくように見えるのですから不思議ですね。