私たちは、自分にとって好ましいと感じるもの、お気に入りのものをできるだけ手に入れたいと望むものですね。
その一方では、自分にとっては嫌いだなと思っているもの、都合が悪いものをできるだけ遠くに押しやりたいと願うのです。
この当たり前の習性が、実は苦しみの根本原因であるということに気づいている人は少ないのかもしれません。
じゃあ気づいた人は苦しみから解放されるのかというと、そうでもなくて、気付いたからといってその習性を無くすことが難しいのです。
だから、いつまで経っても苦しみがなくなることはありません。ただし、その苦しみを小さくしていくことは可能なのです。
つまり、この二元の世界で都合のいいものと都合の悪いもののバランスを取るということ。都合のいい方にばかり肩入れすることを慎むのです。
そうすることによって両者のバランスが取れてくるし、両者の間の違いも小さく感じられるようになるのです。
ちょうど、やじろうべいの腕が短くなるにつれて、大きく揺れることがなくなってくることと同じなのです。この生き方が中道に近いわけです。
そして、完全に中道になったとき、その時こそ二元性が消えて、つまり双方ともに消えていってしまうことになるのです。
そうやって、非二元へと入っていくことになり、結果として苦しみからも解放されるということになるのですね。