奇跡のコース

 前々からセッションなどではみなさんにお伝えして来ていることですが、私は一年に2,3冊本を読めばいい方というくらいにあまり本を読まない人間です。たまに読んでも、それは必ずどなたかに勧められて読んで見るというくらいで、自分からこの本を読んでみたいなということはほとんどありませんでした。

 会社員の時に仕事上必要となる知識を身につけるために読んだ技術書の類は別として、元々、本というものに対する情熱というか、そういうものがとても薄いし、本から得られる知識や知恵というものに大きな期待をしていないという面がありました。エンターテインメントの目的であれば、他にもいろいろあるという考えでしたし。

 そんな中で私の人生を大きく揺さぶるほど衝撃的な本との出合いがあったのです。それが、奇跡のコース(A Course In Miracles)という本でした。それは、幼いころから何となく分かっていた、「何となく違う、ここじゃない!」という感覚から始まって、大人になってセラピストになっても薄々感じていた違和感があったのですが、その原因となるものを非常に明確にしかもきっぱりと言ってのけた本だったのです。

 以前から自分の身に起こることは自分が起こしている、ということはセッションで必ずお伝えしていたことなのですが、その理由が明確に述べられている本とも言えます。いつもどこかで、ここに居るってどういうこと?そもそもモノが在るとはどういうこと?っていうことを小さい頃から感じていたし、何だかこの現実って怪しい怪しいと思ってもいたのです。

 セラピストになってそういった感覚というのは、現実逃避からくるものであり、心が病んでいるからであって、癒しを進めていくことで解決できると思っていました。ところが、どうやらそればかりでもないということがやっと分かってきたのは、明らかにこの本のおかげなのです。すべてを幼少期の問題としてしまうことには問題があると気づくことができました。

 またこの本によって、セラピストというのはかなり危険な職業なのだということにも気づくことができたのです。言葉は悪いですが、人の心の闇を扱う仕事というのは、ある程度その闇をほじくり返して問題を暴くということが必要となってくるのですが、実はそういったことを続けていくこと自体がエゴの策略にのってしまうという危険が多分にあるのです。

 私は正直、早くこの人生を終えて天国に戻りたいという意識をずっと持っている人でした。しかし、生きていても死んでいても天国に戻るということにはならないということにはっきりと気づくことができたのです。この本のおかげで、逆に生きている間にしっかりとするべきことが見つかったのです。しかも、それ以外の目的は一つもないという明確な目的を得ることができました。

 このことは私の人生にとって、今までで一番大きい出来事だといっても言いと思います。一冊の本を繰り返し読むということも今までほとんどありませんでしたが、この本はきっとこの先何度も繰り返して読むことになることは間違いないと感じています。そして、みなさんとこの本の教えを分かち合う場を是非作っていきたいとも思っています。