本当の自分の姿

 例によって瞑想していると、うつぶせに倒れているインナーチャイルドの姿が出てきました。彼は何かベトベトとした繭のようなものの中にいて、起き上がろうとしてもべっとりしたものが胸に張り付いて、身動きが出来ないようでした。とても可愛そうだと思うのですが、どのようにして助けてあげたらいいのか分からずただ呆然としているうちに、何で助けてあげられないのかを考えていました。

 その瞬間、彼は自分自身だと悟ったのです。勿論、インナーチャイルドですから自分であることは分かっているのですが、彼を見ているこの自分自身だという感覚が襲ってきたのです。これは初めての経験でした。現実の世界でまがりなりにも家庭をもって、それなりに生活している自分の正体、本当の姿は彼だったと気づかされたのです。

 それはびっくりする体験でしたし、何よりも頭で理解していたことがこんなにも気づくことと違うのかということに驚きを感じたのです。大人の私が生きているこの世界観は、彼が置かれている世界観そのものだったのです。彼の感覚、彼の目を通してこの現実を見ていただけだったのだと気づかされました。これはちょっとした驚きと同時に訳の分からない感情が出てきました。

 彼が自分自身だとしたら、彼を見ているこの自分は一体誰なのか。そう考えたときに、自分の上にいて、いつも自分を見守ってくれている愛に溢れたハイアーセルフかもしれないと思ったのです。この自分が繭の中にいる彼を助けることは、ハイアーセルフが私を助けることと一緒なのだと思えたのです。この自分の本当の姿は、インナーチャイルドである彼であると同時に、ハイアーセルフでもあったのです。

 このことに気づかされたときもまた感情がわきあがってきました。では自覚できるこの私とは一体何者なのかと考えて見ました。結局、エゴなのではないかと思えたのです。本当の自分がそこに横たわっている彼であると同時にハイアーセルフだとしたら、この自分はまがいもの、あるいは観念が作り出した幻想であると思えてきました。

 この気づきはとても大きくて、自分の中で何かが変わりました。その後、瞑想するといつもとは違って、簡単にあの感覚の中に入っていけるようになったのです。あの感覚とは、言葉で表現できない何か特別な感覚のことで、今の時点でこれが何を意味するのかはまだ分かりません。そして、この体験の後、もう一つ気づいたことがあります。

 それは、歩く速度に今までとは違う変化が出だしたのです。明らかにゆっくりとしたスピードで歩いている自分がいました。それだけではなく、身体の重心が今までは前の方にあったことに気づいたのです。今は、どちらかというと、身体の後ろの方に重心があり、足の裏全体で立って歩いているのが分かるのです。

 歩いている自分がとてもおだやかで、何かどっしりとした感覚があるのです。きっと、グラウンディングが強くなったのだろうと考えています。