もう10年以上も前の事だと思うのですが、あるクライアントさんがセッションにご両親を連れてきたことがあったのです。それほど多くはないのですが、たまにそういうこともあるのです。
そのクライアントさんは、それまでに個人セッションで私がお伝えしているようなことを、両親に直接伝えて欲しいらしかったのです。きっと自分では何を言っても伝わらないと感じていたのでしょう。
そのお母さんが最初に言った言葉が、今でもとても印象に残っています。そのお母さんが言ったその言葉とは…
「あなた(私のこと)が息子に勧めているような生き方をして、息子がたとえどれほど幸せになれたとしても、私はそんな生き方は絶対に認めません!」というものでした。
幸せになるには、それなりの方法があるということらしいのです。私は無駄だと思いつつ、どんな方法であれ息子さんが幸せになることに反対する必要はないのではないですか?と。
案の定、全く私の言葉がお母さんの中に入っていくはずもなく、言葉は虚しく宙に浮いた状態のままになってしまいました。
それ以来、そのクライアントさんがご両親の話しをすることはなくなりました。いい意味で見切りをつけることができたということなのでしょうね。
そういう意味では、ご両親を連れて来れたことは無駄ではなかったということです。子供というのは、どこまでいっても親への期待を諦めきれないのです。
いつかきっと分かってもらえる!そう信じて生きているのです。本人にその自覚がなくても、心の奥にいるインナーチャイルドは、そう思っているのですね。
いじらしいものです。けれども、どこかで見切りをつけて、親は親の人生を生きているということを認めて、自分は独自の人生を生きていく決意が必要なのです。
親に認めてもらう代わりに、自分で自分を認められるようにならなければ、未来は暗澹としたものになってしまうことに、しっかり気づくことが大切ですね。